ニート・オブ・ザ・デッド

「ヒキコモリの息子がゾンビになった!」

ゾンビが蔓延する世界。一軒家の中で篭城をはじめた家族だったが、ヒキコモリの息子がゾンビになっていることが判明する。
なんとしてでも追い出したい父親と、大人しい子で人を襲わないからこのままでいいと主張する母親が激しく対立する。
二人の争いから、家族とは、夫婦とは何かを問いかける新感覚“ゾンビ”ホームドラマ。
怖がらせて、笑わせて、泣かせて、驚かせる。

【作品解説】
主演の夫婦を演じるのは筒井真理子と木下ほうかのベテランコンビ。
緊張感あふれる全編出ずっぱりの熱演は観客を圧倒すること間違いなし。
表題の“ニートゾンビ”を演じるのは、金子修介監督の長男で、本作で本格的なスクリーンデビューを飾る金子鈴幸。
フレッシュな魅力が炸裂している。
一家の祖父で“寝たきりゾンビ”を演じるのは『昭和残侠伝』シリーズ、『不良番長』シリーズで全盛期東映の名物プロデューサー、吉田達。60年近くの映画人生にしてスクリーンデビューとなる。
ほかに、カルト俳優ホリケン。、映画監督の白石晃士、現役アイドルでエッセイストの白河理子が脇を固める。
監督と脚本を担当したのは『オールナイトロング3』『歌舞伎町案内人』などのシナリオライターで知られる南木顕生。
佐藤佐吉、白石晃士両監督のサポートを受け、満を持しての監督デビューとなる。南木を監督補として支えるのは『劇場版ウルトラマンメビウス』の監督である小原直樹。編集は2014年に公開(初夏・シネスイッチ銀座)された『いのちのコール〜ミセスインガを知っていますか』で監督デビューした蛯原やすゆきが担当。
オリジナル音楽は自身でライブ活動を行っているアーティストでもあるMojin。
本作では本名の西川茂臣で音響効果も担当している。撮影監督は『つづく』の吉田康弘、VFXは『悪魔ちゃん THE 夢ovie』の岡野正広、特殊メイクは『俺俺』の自由廊といった具合に、プロ中のプロが集結し、新世紀のカルト映画を誕生させた。
なお、本作の監督である南木顕生は、2014年4月4日、永眠し、この作品が唯一の監督作品となった。

Cast

筒井真理子  Mariko Tsutsui
山梨県生まれ。早稲田大学在学中より「第三舞台」に参加。
1994、映画「男ともだち」で主演デビュー。2003「着信アリ」、
2005「東京タワー」、2007「クワイエットルームにようこそ」、
2008「アキレスと亀」、2010「ヒーローショー」、2012「希望の国」
2013「クロユリ団地」「探偵はBARにいる2」「真夏の方程式」「ルームメイト」
NHK大河ドラマ「八重の桜」、2014 NHK「花子とアン」 
出演映画「かぐらめ」が今夏公開。
木下ほうか  Houka Kinoshita
1964年大阪府生まれ。大阪芸術大学舞台芸術学科卒。
映画「ガキ帝国」で俳優デビュー。
現在、フジテレビ『痛快TV!スカッとジャパン』、『戦う!書店ガール』出演中。
プロデュース、出演した映画『木屋町DARUMA』が年内公開予定。
金子鈴幸  Suzuyuki Kaneko
本作が本格的なスクリーンデビュー。
他に、2014年 白石晃士監督『戦慄怪奇ファイルコワすぎ!』出演など。
金子修介監督の長男である。
吉田 達  Toru Yoshida
慶應義塾大学卒業後、東映に入社。1965年〜『昭和残侠伝』シリーズ、
1968年〜『不良番長』シリーズなど多くのヒットシリーズを手がけた全盛期東映の名物プロデューサー。深作欣二監督の傑作1972年『現代やくざ 人斬り与太』1975年『仁義の墓場』のほか、1977年『人間の証明』1978年『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』1980年『四季 奈津子』1981年『野菊の墓』といった大作も手がけた。60年近くの映画人生にして本作でスクリーンデビュー。
  • ホリケン。  Horiken
  • 白河理子  Riko Shirakawa
  • 宮内桃子 Momoko Miyauchi
白石晃士  Koji Shiraishi
映画監督・脚本家 
『風は吹くだろう』(共同監督・近藤太)ぴあフィルムフェスティバル99で準グランプリ受賞。
2004年『呪霊 THE MOVIE 黒呪霊』で長編初監督を務める。
その後の代表作に、2005年『ノロイ』2009年『グロテスク』2009年『オカルト』2013年『カルト』2014年『ある優しき殺人者の記録』など。
2014年『戦慄怪奇ファイル コワすぎ!』で監督・脚本・撮影・VFXを担当。ニートゾンビ役の金子鈴幸が出演している。

Staff

プロデューサー&脚本&監督:南木顕生  Akio Nanki
1964年9月16日大阪府生まれ。
大映(株)勤務を経て 1994年「熱帯低気圧同盟」で城戸賞準入選佳作入賞。
翌1995年「狩人たちの触覚」で脚本デビュー。
話題作「いのちのコール〜ミセスインガを知っていますか〜」ほか、
映画・TV・Vシネマなどの脚本を手掛けた。
2014年4月4日、病気により急逝。
本作「ニート・オブ・ザ・デッド」は初監督作品で遺作となる。

製作:渡邊宙子、守上剣一 │ 監督補:小原直樹 │ 撮影監督:吉田康弘
撮影助手:佐原八尾 │ 録音:小野翔悟 │ 助監督:田中貴大 │ 編集:蛯原やすゆき
メイク:松井知子、竹吉保奈美 │ 特殊メイク:真鍋麗奈、小松義夫、渡邊結花
VFX 造形:岡野正広 │ 合成:水谷しゅん
音楽:Mojin、J.S.バッハ
特別協力:白石晃士、佐藤佐吉
制作プロダクション:(株)エモーション
製作:©「ニート・オブ・ザ・デッド」製作友の会
2014年/カラー/デジタル/38分
配給:オムロ

Message

『熱気』鈴木 智 (シナリオライター)

去年あたりから、君の表情は明るくなった。自分一人で篭って脚本を書く孤独には耐えられない、皆とわいわいやりながら作りたいんだ、だから自分でプロデュースして監督することにした、これが最高にいいんだよ、面白いよ、絶対鈴木さんもヤったほうがいいよ、と話が止まらなかった。

◆ 中略 ◆

四月のはじめ、僕は君にメールを書いて自作の脚本を添付した。メールの返事はなかった。君が亡くなったとネットで知ったのは、その三日後だった。(あとで、倒れた時の机には「ニートオブザデッド」を海外の映画祭に出すための書きかけの申請書があったとも聞いた。それが絶筆だったのか?シナリオライターか評論家かわからない男の最高の自信作。命をかけた映画ということになるのだろう)49歳は早過ぎるが、亡骸は、誇らし気な顔をしていたと聞く。最後はドヤ顔とは南木らしい。きっとあの熱気で燃え尽きたのだ。人の世は煩わしい。頭の中に出来ている映画が念写かなんかでそのまま劇場にかけられたらどんなにいいか、とよく思う。君は誰かに許されて自分だけの映画を楽しんでいるのかも知れない、と思うことにした。
やかましい声で、聞きたくもない事を言ってくれる君はもういない。またあたり構わず周囲をカッカさせてくれよ。自分に熱が抜けている時、どうにも気分が上がらない時、こんなホンじゃ君に突っ込まれる、と思って自分で自分を熱くするしかなくなった。
ただ、残された熱は、この映画に焼付けられている。今は、そう思う。

(月刊シナリオ2014年6月号掲載 追悼文を改稿)

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