By | 2017年2月4日

『第3章』アップしました。    西田宣善

高校から大学時代にかけての多作時代を経て、社会人になってからは自分で映画を撮るなんてことはなかなかできない。

そんなことをやろうという気持ちが、時にフツフツと沸いてくることがあるが、パーソナルフォーカスが終了するという知らせが届いたのは2010年だったと思う。3分間の8ミリフィルムのみの映画祭だ。私も学生時代から時々出していて、8ミリフィルムの終焉に伴い、もう最後にするとのことだった。これを機に、私は最後の8ミリを撮ろうと決意した。

たむらゆみさんに脚本を頼み、溝口健二の『山椒大夫』にオマージュを捧げるシナリオができ上がった。これも友人の諸星千恵さんの助言で神奈川県のある湖をロケ地に選んだ。

当時、太秦株式会社でマネジメントを担当していた黒川達志さんを主演にして、ヒロインに黒川さんの友人の木川聖子さんに出ていただくことになった。

撮影当日、8ミリカメラの他に、ビデオカメラも持ち込んだ。スタッフは私の他はたむらさんだけ。撮影も私で、フィルムとビデオで2度撮影した。ほぼ同じ演技を2度やってもらった。カット割は違う。夏の暑い日で、私は大汗をかきながら、撮影を終えた。

8ミリ版の編集は自分で行い、お気に入りのディーリアスの曲をつけて、パーソナルフォーカスの主催者に送った。これは東京、福岡、京都などで上映された。

問題は、ビデオ版の方で、それから2年眠らせてしまった。なぜならば私は自分でデジタルの編集ができないからだ。

幸いにして、仕事関係から衛藤文さんという方が見つかり、編集をお願いすることになった。ここでまた問題になったのは音楽をどうするかだった。『クローンを故郷をめざす』の時に、音楽評論家の石塚潤一さんに紹介された鈴木治行さんにコンタクトを取ることにした。現代音楽の代表的作曲家の一人である鈴木さんに音楽を頼むとは畏れ多いこと。こちらは全くの自主映画でお金はない。鈴木さんは心良く引き受けて下さり、お礼も申し訳ないぐらいの破格の値段だった。それなのに鈴木さんはこちらの勝手な注文、「早坂文雄を意識して下さい」などといったことを受けて、素晴らしい音楽を作って下さった。

編集当日。編集の衛藤文さんが言い出した。「色が揃ってません」。これはどうしようもない。呻吟の末に編み出したのは、全編を白黒にすることだった。このアイデアをくれた衛藤文さんには感謝の言葉もない。

映画は函館港イルミナシオン映画祭に出品した他はどこでも上映しなかった。YouTubeに上げて皆さんに見ていただこうと思ったのは、監督への秘かな「野心」からである。ぜひご覧下さい。


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