By | 2017年6月22日

南木さん、やっと本ができました。   西田宣善

「南木顕生遺稿集」がついに発売となった。というのは、この本を作る上で、かなりの困難に遭遇したからだ。脚本家で『ニート・オブ・ザ・デッド』という監督作品を遺して南木さんが亡くなったのが2014年4月4日。その後、『ニート〜』の公開や南木さんを偲ぶ会を経て、この本の企画が立ち上がったのが同じ年の何月だったか。

偲ぶ会で中心的な役割をされた谷岡雅樹氏と南木さんの友人の川畑隆一氏にまず相談をした。当初、谷岡さんに編集に入ってもらおうと頼んだが、それはプロの編集者に頼んだ方がいいという判断だった。そこで、あるベテランの編集者に頼んだものの、結局降りられてしまった。私と彼がコミュニケーション不足だったことが一つの原因だった。

仕切り直しをして、オムロ社内で編集をすることにした。ヴォリュームのある「グリニッチビレッジ・シネクラブ」とSNSで発表された膨大な日記を読んで選別するという多大な労力を要する仕事に入った。これを編集者の田村由美は奥様の南木宙子さんと連絡を取りながら、徐々に進めていった。

特に、日記が曲者だった。南木さんの日記は詳細な解説と毒を吐きまくった痛快な言い切りで読ませる映画評が仲間の間でも評判だった。これを出版するというのは、宙子さんによれば南木さん本人の発案だったらしいが、東西問わずあらゆる映画に対する誹謗中傷の嵐で、このまま収録するのは不可能な文章が相当あった。この中から、多少言い過ぎのところを加減しつつ、南木さんの舌鋒鋭い文章を極力生かすことに努めてもらった。

発行者である私が入れてほしいと強く頼んだのは南木さんの師匠である神波史男氏が亡くなる前後のことを書いたところ。ここは日記の中でも白眉である。

収録した3本のシナリオも面白い。城戸賞受賞の『熱帯低気圧同盟』のちょっと色っぽくて可笑しいラヴシーンなんか、南木さんの一面を見る思いがした。

この本が広く読まれることを切に願ってやまない。


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