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かつて、日本映画にも黄金期があった。そして、その時代、映画産業に関わった人々の映画への熱き思いは、
産業的には苦戦を強いられる日本映画にも脈々と息づいている。
妻の死をきっかけに酒に溺れ、スクリーンから姿を消したかつての大スターと、映画に希望と夢をもつ、
若く純粋な女性映画スタッフ。『ラストシーン』は、世代に隔たりのあるふたりの束の間の交流を通して、
受け継がれる、映画への想いを軸とした、切なくハートフルな人間ドラマである。
全盛期である1950年代には、世界の映画人口は11億人を数え、1960年には1年間に
547本という日本映画が公開されていた。だが、テレビという新しい娯楽の出現によって、その勢いも
急速に衰えをみせる。
『ラストシーン』の冒頭で展開されるのは、日本映画黄金期の象徴ともいえる
スターシステムの崩壊の断片である。中田監督はスターシステムとともに崩れ去った撮影所システムの
末期に、映画界入り。この映画を撮ることは、古きよき時代の日本映画を知る最後の後継者としての
使命だったのかもしれない。
実際に日本映画の変遷を背景にしながらも、『ラストシーン』の基軸となるのは、人と人との絆に
他ならない。看板スターと大部屋俳優、撮影所世代とテレビ世代、死に行く者と生き残る者。決して
交わらないであろう対称的な人々が、この映画の中では、奇跡ともいえる接点を見出すのである。なぜ、
往年のスターが撮影所に戻ってきたのか?
さりげない謎が解き明かされるラスト・シーンは、まさに時代や空間を超えて繋がる、
人間の引力を象徴する感動的なシーンである。
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